
“汚いラーメン”
・・・なんと甘美な響きであろうか。輝く脂、粘土のような麺、そして口の中でほろほろに溶けていく豚。一口噛み締めた瞬間にアドレナリン、エンドルフィン私の中に存在するありとあらゆる脳内麻薬がこれでもかというほど分泌されるのを感じる。
このコラムは木内小百合が皆さんに、そんな愛する汚いラーメンを知ってもらうべく、また好きな人とはその愛を分かち合うべく、筆を執った次第です。
そんな私ですが、この汚いラーメンに対して深い憎しみも抱えています。
地の果てまで伸びる並び、殺伐とした店内、二日酔いの時には絶対に誘惑してくるのにいざ食べ始めると進まない箸。麺量を調整しても苦しいほどの満腹感、それに追い討ちをかけるかのように迫る脂・・・
退店後「二度と来るか!!!!」とブチギレながら帰ることもしばしば。
それでもどうしようもなく繰り返し求めてしまうこのラーメンに、愛情と憎悪の複雑に絡み合った気持ちを込め、私は名前をつけました。
それが“汚いラーメン”です。
ここで但書きをしておきたいのですが、野菜が山盛りでニンニクが入っていれば必ずしも汚いラーメンという訳ではありません。
この言葉に対する全ての権限は私にありますので・・・すみません。
(第1回 “汚いラーメン”)
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